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千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

 富の托かり方 34  <   帝釈天の涙   >

いままで、この表題で33話を日記しました。
今回は具体例ではなく、毛色を変えて、
考え方の礎にまつわる話を一つ。

若い頃に手塚治虫の漫画に熱中しました。
そんな中で、何千年も前の、あるバラモン
不思議な話が今なお心に残っています。

ご存じだとは思いますがその伝説を簡単に記します。

  ∞

猿、山犬、兎、獺(カワウソ)の四匹が、雪山で力尽きて倒れている
みすぼらしいバラモンの老人に出逢った。

四匹は老人を助けようと考えた。
猿は木の実、山犬は獣肉、獺は魚と、
それぞれ自分の餌を老人に布施をした。

しかし兎だけは、雪下から草を採ってくることができなかった。
吾が身の非力を嘆いた兎は、猿と犬に頼んで火を焚いてもらい、
自らを食すように伝え、火の中へ飛び込んだ。

その姿を見た老人は涙を流し、帝釈天として具現し、
兎の捨て身の慈悲行を後世まで伝えるため、兎を月へと昇らせた。

月に見える兎の姿の周りに影が見えるのは、
兎が自らの身を焼いた時の煙だという。
                古代インドのジャータカ出典
     

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      月兎よ!

  

さて昨日、敬愛する先輩Mさんから涙の話を聞きました。

  

数年前、鹿児島知覧の特攻基地へ参りました。半日、涙を流しておりました。

妻にそのことを話しましたら、「アホ違う?」と馬鹿にされました。

その時、一緒に行ってくれたのが、マルクスが好きなT君でした。
彼は目を真っ赤にしている僕を見て、
気の毒そうに3時間ほど、待っていてくれました。

学校好きなUちゃんは、相変わらず不思議そうにしていました。

    

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          若き特攻一族散る

  

21才の特攻員は

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         七度ならず百度をと

  ∞

名もなく、財もなく、そして明日はいのちなく。
特攻へ死出でに旅立つ年端もゆかぬ若者達。

未練がないはずもなく、しかし死地へ向かう潔さ
胸に秘めた彼らの願いは、同胞へ未来を献げる自己犠牲でしかありません。
それのみが支えであったはずです。

ほとんどの“争い”門の奥ノ院には、【富と権益の奪い合い】という
血塗られた看板が掛かっています。

私たちは今、かっての王侯貴族並みの飽衣飽食を手にしています。
その拠ってきたるところに思いを馳せると、
富の托(アズ)かり方に衿を正さざるを得ません。

そして、未来にどのように托してゆくかを考えるヒントともなります。
これが“富の托かり方”を考える出発点なのです。

さてMさんに話を戻しましょう。

世の中には吹けばすぐ消える感謝の言葉や愛とか慰めの
言葉があふれています。飽褒と名づけたいほどです。

そうした世相の中、Mさんの半日に及ぶ言葉にならぬ涙こそ、
帝釈天のそれだったにちがいありません。
この涙の川は必ずや、人知れず若い命を散らせた魂たちへ届き、
甘露となってまことの安らぎと喜びを与え続けることでしょう。

あわせて、特攻で標的となり無残に死んだ
相手兵をも温かく包み込むと信じます。
     

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      “惜別の涙” と 特攻兵

 http://www.chiran-tokkou.jp/learn/pilots/index.html