千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

 渡り鳥がゆく <湯気;金沢>


風なき空を雪が降り落ちる“間”が好きだ。

金沢の宿を出て、城の近くの路地を行く。
早朝で、路地も大道も人一人いない。

武士の町だから、歩いただろう武士を想う
芸の町だから、芸子のあゆみを想う
文学の町だから詩人の歩みを想う

四十分ほど雪と戯れあるき
とある郵便局に入った。

お?これは・・・雰囲気が金沢だ。
木目整ったテーブル、椅子、カウンター
そして、メッセージボードに金沢らしい
ステンドグラスが収まっている。
     

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しげしげ見入っていると、職員が
「これは国際姉妹郵便局であるベルギーのケント市より
贈られたステンドグラスなのですよ」という。
    

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伝統と現代、あるいは伝統と異文化を優雅に融合させる
この町の柔らかさを観た。

地元の新聞を読み、〔街作りのレシピ〕という本に見入っていると
茶のいい匂いがしてきた。

「どうぞ、お茶です。お客さんも居ないことだし・・・」と女の職員が
にこやかに塗り盆を差し出してくれた。

掌を合わせ、茶碗の暖かみと香しい茶の湯が体を芯から温めてくれた。
降りしきる雪の静けさの中、“間”が麗しくもさりげなく流れていった。

 

   

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         現代と伝統