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千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

 来る道、行く道 <慈雪>   


きょうも雪の中を、大拙老師の薫陶に包まれたくて
金沢の町を歩いた。

降り積もった白雪に朝の光が新世界を、作り出していた

  

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ひと度大拙老師の雰囲気に接したり、ひと言を耳にするだけで
老師の深みに触れ、啓発されるという。


長い米国生活を終え、学習院で教えていた頃だった。
教え子が同窓会に大拙老師を迎え、何気なく尋ねたという

「禅の話をして、米国人にわかるのですか」
間一髪を入れず
「君たちは分かるのかね」

ピシャッと言われて、深く老師の存在が皆の心に入って来たという。

米国で育った岡村は15才の娘の時、たまたまコロンビア大学に講演にきた
大拙老師に感じ入り面会した。
日系二世の娘は太平洋戦争勃発で、強制収容所
4年近くも閉じ込められたこともあり、
大人が信じられず、空しいと訴えた。

八十半ばの大拙老師は少女の手を取りいった。
「きれいな手ではないか、仏の手だ」

この一言で不平と不満の淵にいた岡村の心は一変し
新しい人間として生きてゆくという気持ちが湧いたと述べている。

父は大拙老師から頂いた手紙を表装して、
宝物として木箱に収めていた。

米国の高名なエーリッ ヒ・フロム (コロンビア大学社会学.心理学者) は
大拙老師に議論を挑んだ。
種々の質問に「な」「な」といいつつつ耳をかたむけ、
ひとこと言ったそうな、
「ところで、あんたは一体何だろかな? 
           Who are you who said this?.」

フロムはハッとして、それから十四日ほど考え抜いたという。
以後、フロムは大拙を敬愛し親交を深めたという。

京都大学の上田名誉教授はいわれる。
「一度しかお会いしていないが、その後の人生に大きく影響している」

 


広がる空よりの雪は、世界を一変させ
とけたあと草木は変わらぬようにみ受けられるが
深く染みこんで成長させる