来る道、行く道 <イルカ人生>
友人が一言さりげなく言霊を残した。
そりゃ、欲や~
母宅で驚いたのが、同じものが多数あることだった。
酢は二十本ほどあちこちに隠れて熟成している。
色が琥珀色に変わっているのもあるのだ。
そっと、母に聞いた。
「なんで、こんなに沢山?」
「安かったからよ」
買い物上手の自信みなぎる返答だった。
お陰で吾らは育ったと気づいた。
あるご夫妻に話すと
「ウチも一緒や、沢山ありすぎて困る!」
「なにゆうてんのアナタ、安かったんやもん!!」
「それはちがう!必要なら買うべきや!」
再戦開始になりそうだから、
それはそれとしてぇと話題が変わる。
中東戦争のようなもので、この価値観が折り合うことはない
男と女の違いもあるだろうが、安いから買う心は何やろか?と
呟いたら、友が先の言葉が出たのだった
さて、花々に清明の息吹を感じさせるこの頃、
とある高貴な方が清らかにいった。
「欲しいものを手に入れるより
必要なものを手に入れましょう」
そうか、次々新しいものを買うのではなく
最低限必要なもので十分だと、受け取る人もいるだろう。
美味しいものを、もっと、もっとと欲に任せて追い求める虚しさを
そっとたしなめていると取るのかも知れない。
損得ばかりではない時間に浸ろうと決意する人もいるだろう。
満たされることのない世界から、
自分磨きをすることだなと受け取るかも知れない。
どのように受け取ってもよいが、
もてあますほど手元に抱え込んで果ては忙しくなる心も分かる。
貯蓄だって美徳の時代もあった。
知識だって、簡単にインターネットで取り込みすぎると
本当に大事なことが見えなくなる。
付き合いも然り。金も、昇進も、健康もすべてそうである。
年配者が増えたから、健康への欲望を刺激する会社の多いこと。
肥満対策に○○を摂りましょうと甘く囁く。
節食すればすぐ治るとお医者はいうのだが。
満瑠壺人生の後半の合い言葉
そりゃ、ホンマに要るか
便利も欲しいも不要
合い言葉がいるほど、欲ばりなのである