夢の種まき < 若者の夢 :ベトナム >
ヒュイは好青年の社長さん
ココア農園の木蔭で、ココア湯をちびちびと
すすりながらしゃべった
「ヒュウ、あんた何するん、将来」
「僕はね、家が貧しくて、大学に行けなかった。
だから、貧しくて大学で学べない学生の大学作るんだ」
「そうか、満瑠壺も学生の時貧しかったな」
「父は事業をしていて、破産した。だから家には金がなかった
高校も出なかった」
しかしがんばって、今では旅行会社を経営してはやっている。
「会社では上下関係はなくってね、全員仲間で、パートナーさ」
「そりゃ、いい。僕がいた会社もそんな傾向があったな」
「だからね、僕がいなくなっても、会社はやってゆける」
実際、フィがバイクに乗っけてヒュウの会社Hieutour Co.Ltd
に連れて行ってくれたが、職員が生き生きし
こぎれいな会社だった。
名刺
「僕がホームステイを熱心に勧めているわけはね、
今はね農産物が安くて田舎は困ってる。
だから、副業で収入が入るようにして、
子供に教育ができるようにと思ってる」
見上げたものだ。
「受験の判定にね、社会性とか、視野の広さを入れなされ」
それを説明するとすぐに分かったようだ。
「うん、自分の実力だけで大学出たと思っている学生は
ともすると、利己的で貪欲になるからね」
もう一つ提案した。
「机上の勉学だけではなく、社会での実体験の繰り返しと
試行錯誤からの学びを取り入れるといいよ」
ヒュウは黙って聞いていた。
彼自身が、机上ではなくて、実体験からの学びで
今のように成長しているからだ。
苦労はあったろうけど、その中から机上では得られない学びが
多くあったに違いない。
きっと真意を腑に落としてくれるだろう。
大きな足跡を残した先人達は、
若い頃に艱難辛苦を経ている傾向が大きい。
ヒュウの志が叶うようにいつも祈っておこう。
青年実業家 と 渡り鳥