来る道、行く道 < ⑱ 礼拝一筋 :ベトナム Tay Ninh カオダイ調査 >
朝陽とともに起きた。雲をあかね色に染めいづる。
鶏が高らかに鳴く。
今日も酷暑
ふっくら屋は開いていて、ご飯をしこたま食って、
昼飯用にバンミーを買った。夏眠中の食料だ。
日本人は、ベトナムフランスパンをバインミーというが、
全く通じない。
唇をはじかせ、イ~っと口角を上げると通じる。
おばちゃんもおじちゃんも、発音先生をしてくれる
「バンミーだよ」と。
さて、満瑠壺のとっておきのマジメ顔して、
カオダイ聖堂へ向かう。
朝6時というに、すでに暑さが押し寄せる。
バイクには今まで以上に用心しながらよたよた歩く。
鶏屋のおっちゃんが、オイ!今日はどないや?とか
カフェにたむろするオッサンが声をかける。
門前の食堂の出戻り小母様も手を振ってくれる。
そっちに気ぃとられたら、命が危ない。
門番に印を組み礼をして、聖堂に向かう。
すでに、礼拝は始まっていて、信徒達は整列座している。
二階の気の抜けたと思っていた演奏は、
徐々に荘妙に聞こえだしてきた。
一番後ろの最前列に案内され、
蚊に刺されながらも、皆の真似をして礼拝をする。
まだまだ右胸が痛い。
あちこちに描かれる左目が、
何か優しげに見まもってくれる。
回廊の左目 三角形の中で見えにくい ↑
これなら分かる?
夕刻も居住まいを正して礼拝したが、
演奏がいつもより雑で
響きに乱れやトゲがあった。
さて、カオダイ聖堂での信徒達は礼拝の後、
飲食したり、だべったりはしない。
家路へ急ぐのだろうか、
やり残している仕事に戻るためだろうか、
30-40分の礼拝を終えると、徒歩やバイクで
散会する。
礼拝だけ、礼拝一筋なのである。
この日、朝晩とも、多くの信徒達が
印を組んだ礼やら、握手をしてくれたりした。
手入れされた庭園に犬が軽やか散歩