千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

シェリー夜光杯 

 

父からの頂き物を奥から出してきた。
オロロソのシェリー酒"CROFT"(クロフト)-medium dry

きっと、25年以上昔のものだ。
転居毎に無事を確かめていた。

この美酒の故郷、スペインでは女が
「シェリー酒を飲みたい」と口ずさめば
今夜は帰りたくないのと意がある。

男は黙ってシェリー酒をおごる、粋な習わしだ。

吾が傍らには呟く女でなく、華奢な夜光杯。

夜光杯は、かの有名な王翰(オウカン)の詩に詠われた
出で立ち優雅な杯だ。

 ∞

葡萄の美酒夜光の杯     
飲まんと欲して琵琶馬上に催す
酔うて沙場に臥す君笑うなかれ
古来征戦幾人か回(カエ)る

イクサにかり出され、明日の烈戦で死を覚悟するは
名もなき兵士達の心根。
美酒一滴一滴に、故郷や家族恋人を想う。




マルコも現代の金融戦場の敗北を悼みつつ詠う

うま酒シェリー夜光杯     
飲まんと欲して哀歌月下に催す ♪
酔うてなお娑婆に臥す、君笑うなかれ
古来賭戦幾人か回る

 

 

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                  夜光杯
秋である。