おやすみモードになりかけの夜のこと。
ル・ル・ル・ル・ルッ
「へい、マルコです」
「Yは * 社のYです」
「は ? なんでっしゃろ、エ? Yはん?」
ブヨのようなセールスYはんに、とぼけマルコになった。
「近頃どうですか?」
「はァ ? なんのことやら」
「6月24日のブレグジットは****で、こないだのトランプショック、金どうですか?」
「なんですか?それぇ~」
全く関心ない金が下げたから買えといったのを思い出した。
ハハハ、その後もっと下げていたな。
「う~ん、最近何をされてます?」
「こないだ、椋の実を採ってきて酒に漬けましてん」
「いやぁ、相場です」
「とんと関心おまへん」
「株は上げ出しましたし、これから金で・・・・・・・・」
「そんなら、Yはん、ご自分で買いなさって
大金持ちになって下されやぁ」
「・・・・・・・どうも、夜分遅く失礼しました」 カシャリ
Yの後ろでは、いつも甲高い女子社員が
言葉づらを繕って勧誘しているのがBGMで流れている。
これは人を食い物にする商売。
世の中、うんざりするほどくり返す。
人との付き合いも、会社も国や歴史も
大昔、高級車で乗りつけると、借金の感触を探りに来る友人がいた。
貧乏人のマルコにだ。付き合いはなくなった。
歳が墓場に近いトップがいる会合は
その人のよいしょ会合への道をたどる。
食事をおごってくれる交流が、裏に魂胆がひそむ
繰り返しをする人もいる。
結末になにかしら嫌な感情を残す交流を、
医者のエリック・バーンは「ゲーム」と名づけた。
ジワジワと渋みが甘味に
そうした中で、清々しくもお互いが和やかに
次のステップを歩む喜びが生まれるものがある。
ある高名なピアニストからお手紙をいただいた。
電話の中で、明日を待つ楽しみが生まれる招待をいただいた。
高齢なのに日々成長されている。
それに触発されて私もヘンゲしてゆく。
あるお人は日々の中からきらめく知恵を見出す。
曰く「マルコよ、脳言葉より、からだことばだよ」
それはマルコの眠っていた感性を蘇らせる刺激となる。
マルコももちろん同じ事をくり返している。
でもね、終わった後に清々しくなる繰り返しにしたいなと
しみじみ希求するのである。
季節の巡りがそれぞれの恵みにあふれているように。
だから、だから、林住期に住むマルコは
こうした人や生き物やことに囲まれて
残り時間をゆたかにしたいのです。