“ ア!マルコさんやぁ! ”
と歓声が上がって、なだれ込む子供達
ヒィ、フゥ、みィ・・・六人が
ヒィ、フゥ、みィ・・・の五匹の金魚と
ヒィ、フゥ、みィ・・・の五匹の仔金魚を
つついたり、餌をやったり
「アア、指かまれた」
「なにゆうとん、吸われただけや」
「僕が餌やる!」「私もするぅ」
まあ、賑やかで、金魚やメダカも尾を振る
オクラと苦瓜を切り取って
「ジャンケンで分け」というと
わーわーキャーキャーで真剣に取り合いっこする。
しばらく間をおいて、又やってきた
「これ、北海道のお土産」
12の眼差しが嬉しそうにこっちをみてる。
オツマミコンブ
「おお、好物や」と握手すると、
次々と小さな手がさしのべられる。
いつもなら、やせマルコを刺してた蚊も
若さ溢れる子供達にすり寄ったんやろなぁ
六人はボリボリ掻きながら退散していった。
ご近所さんが
「これ、親戚のもんが作りましてん」と
差し出されたのが、柚餅子!
「手作りでっか!素朴なんで好物」と
ごつごつした手から恭しく受け取った。
毎日一つ、しんみり味わったら
極上の先味、中味、後味
羅臼はブランデェーのつまみにニシニシ
金魚も蚊も腹一杯
胡桃ゆべし
ご近所さんの温もりは
マルコの手にずっと残るやろなぁ
ああ、この世は桃源郷
なんの煩いがあろうか