徐々にリゾート前線が北上しているとか。
マ「この島の田舎に行きたいねん
小錦の故郷もね」
案内員「それは北西地域ですけど・・・・」と
ことばを濁す。
「どうされたん?」
「危険ですから、あんまり行かれんほうが」
「さよか・・・」
ちょっとつまずいても、日本の案内では
危険になることは知っとります
キケン地域
で、忠告を振り捨て、島の原住民の
智恵生活を探しに出かけた。
もちろんThe busを大いに活用。
アラモアナで3番のバスが来たのでソルトレイクまで行く。
Alailimaのショッピングセンターで乗り換えた。
地元の恰幅のいいお腹を出したおっさんが
こっちに微笑みかけて「もう10分ほどで来るよ」と親切に教えてくれる。
スマホで調べたようで確かに10分でバスが到着した。
32番のバスに乗る。運転手はワンデイパスを見てニヤッと笑いかけてくれる。
高速道路沿いの小さなショッピングセンター前のバス停で大声でいう。
「ここやで、このバス停で待っていると40番のバスが来るからな」
手を振ってくれドアは閉まった。
計画とはまるっきり違うバスに乗り込んだので
その時その時の出逢いで、何とかなるさ旅をしていく。
高速道路沿いのバス停で15分ばかり座ると40番の各停のバスが来た。
この40番のバスに乗って終点のマカハへ行く。どんなところか楽しみだ。
まだ未開発の自然のままに残っている白浜が左手に延々と続く。
芝生と打ち寄せる波頭と青空がとても心地よく、
きっとこれが素朴で美しい自然満載のハワイだったのではないかと思われる。
バスの中の人たちはほとんど地元の人々のようで、
嬉しいことにマルコを見てもじろじろ見ることもなくほったらかしてくれる。
目と目が合うと笑いかけてくれる。 懐かしい昔の日本だ。
あるトランジット(乗換)のところでしばらくバスが止まった。
その時左右にゆさゆさ揺さぶりながら歩いていた小錦の
弟か孫のような男が乗り込み、私の右に座った。
失礼にならん程度にじろりじろりと観察した。
彼は歳の頃私の半分ぐらいであろうか、
息をするのも苦しげで肩を上げたり下げたりしながら
席を二つ占領している。
地元の人たちが乗り降りする中、
その男は小錦のようだったので、寝ていた小太りした男や女たちが
ほっそり見えるのは実に不思議である。
下など見えないワイ スマホなどとてもとても
カヒモアナほどになると周りは野菜畑やバナナ畑に移り変わり、
このオアフ島に来て初めての農村地帯を見る。
日本と違って広大な敷地の畑つまりこれがファーミングなのではと勝手に納得する。
乗客も道行く人も海岸縁の人も異国の人で、日本人はマルコ一人。
すれ違う人は地元の人、そして浜辺に泳いだりサーフィンをしたりまたキャンピングをしているのは遠目に西洋人だと体型でわかる。
太古よりの打ち寄せる波で荒涼と広がる海原。
何も見えないはるか沖には未来が洋々と広がっている
気分になるのは不思議だ。
バスの窓が開けば波の音が聞こえていいのにと残念に思った。
終点のマカハはおとぎの国。
絶壁のような山際に新しいモールとアパートが忽然と林立しており、
異様なターミナルだった。
遙かなるマカハ
バスはそこを折り返してまたアラモアナへ向かう。
運転手に「早く帰りたいので急行の2番のバスに乗り換えるには
どこで降りたらいい」と聞くと、快くよっしゃと引き受けてくれた。
浜辺の近くまで出た時点で、運転手が呼びかけてくれ、
「道向こうの浜辺の停留所で待っとけ」と降りるように促してくれた。
交通量の少ない道路をさっと渡って停留所に待つ。
浜辺からの海風は爽やかで白い砂に打ち寄せる波は美しく、
ここで2時間でも3時間でも空を見ながら過ごしたい。
今日はとても時間を費やして、もう3時なので諦める。
次回は弁当持って、帽子とサングラスをかけながら
波の歌を聴きながら気に入りの本でも読みたいなと思う。
傍に気の合う人や動物がいれば至福を上回る。
そよ風そよぐ停留所には大きな黒人の若者が足を延べて
マルコに話しかけた。
「おれはシカゴから来てこの近くの陸軍に駐在して1年だ」
とジュースを飲んでいる。
「もうしばらくしたらバスが来るからな」と教えてくれる。
乗り込むとき若者はマルコに握手を求めてくれた。
とてもフレンドリーで眼差し柔らかく優しそうな若者だった。
小錦の弟分とも会ったし、素朴で親切溢れる人々と時を過ごして
ハワイの包み込むようなおおらかさを味わったのだ。