五十歳、峠を越して
過去はありあり
今オボロ
母は九十すぎて地獄へ行ってしまわれた
とうに50をこしたマルコは
一世紀ほども永らえているマルコ母をたずねた。
マルコ母「いや!あっちへ行って」
といいつつ、枯れ木のような腕で払いのける
マ 「 ヘイ・・・・・五メートル 離れたらええやろか?」
マルコ母「坊主!嘘ばかり言って!」
マ 「すんません。坊主なもんで」
5分ばかりマルコ母は壁のナースコールコードを
引っ張ったり外そうとしたり試みている。
マルコ母「これとれないわね!」
マ 「丈夫ですね」
マルコ母「ハサミがいる」
ま 「ハサミは宝塚の家やなあ、はさみ出すから
じゃんけんぽん!」
マルコ母、パーを出す。
マルコはいつもグーだから、ニンマリしている。
5分後、じっとマルコを見つめる。
マルコ母「あんた・・・カズ?あき?マルコ?」
マ 「マルコ参上しました!」
マルコ母「はげたわね・・・」
マ 「ハゲマルコ、苦労したよ母上」
マルコ母「撫でてあげる」
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5分後、突如険しい顔を向ける
マルコ母「いや!とらないで!」
マ「はぁ??どうしたの」
マルコ母「これから食べるのに取らないで!」
血管が浮き出た細腕がハゲを直撃して
マルコは気を失った。
5分後
マルコ母「あんたマルコ?家に一緒に連れて帰えってね。
帰ったら刺身作ってあげる」
マ 「美味しいやろなあ、たっぷり作って」
マルコ母「途中で好きなものを買ったげる。
おまんじゅうがいい?」
マ 「饅頭好きだよ、あとバナナも買おう」
マルコ母「あした朝帰ろうね」
マ 「・・・ウン」
マルコは何十回嘘ばかりついたろうか。
マルコ母は眠りについた。夜通し歯ぎしりをしながら
“朧” の世界と茨木の友は名づけた。
その世には思い出を背景に、色とりどりのお化けや
魑魅魍魎が現れ消え、そしてその道は地獄へと続く。
三途の川の門番・脱衣ババアは、
マルコ母の細腕の一撃であの世行き。
閻魔様もきっとこっちへ寄るなと言うだろう。
母上、地獄へお供いたします