千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

ROEバブルに悲をひそませて :養眞-17

 

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ハムラビ法典』 『旧約聖書』の教えに
  “目には目を、歯には歯を” と
苦しみにふさわしい処罰をと律している。

  An eye for an eye, and a tooth for a tooth

 

ともすれば憎しみによる復讐は過激さを増すので、
そこで留めなさいよという自制のいましめである。

一発やられたら、二発仕返ししたくなるのが人だからね。

 

マーケットでもまるでおなじ。千円やられたら、
二千円取り返そうといきり立て破滅する。

 

キリストさんは聖人で、上をいってる。

 「あなたがたも知ってるだろう、『目には目で、歯には歯で』と。
  しかし、私は言っておこう。報復してはならない。
  誰かがあなたの右の頬を打つなら、左の頬も差し出しなさい」

 

この深みはさまざまな受けとめがあるが、
人それぞれの推測にお任せする。


そのずっと昔、真理の書・法句経にはすでにブッダが語ったとある。

「私をののしった、私を笑った、私を打ったと思う者には、
  怨みは鎮まることがない。怨みは怨みによって消えず、
   忍を行じてのみ、よく怨みを解くことができる。
    これ不変の真理なり」

 

 つまり忍耐せよ、もしくはさっぱりと忘れよだ。
人の世では怨みの循環は時を越えるからなのだ。

 

伝承されるうちに、昇華転化されて脈々と伝えられたのが上記の真理。
苦しみを体験をすると、同苦を味わう者の悲を共感する
中にはそこから助けてあげようという心意気を芽生えさせる。
ある人は共感に至らず、仕返しを企てる右の道をたどり
別の人は昇華して悲を共感する左道を歩む。


日本でも少し前に、苦笑いするニュースがあった。
老いた夫が病で伏せた時、妻は若い時の恨み辛みがあったのだろう、
いい匂いのする食事を枕元に置き、ヨッコラショと手を伸ばすと
すーっと遠ざけることをくり返したという。
右の道の人である。

 

多くは右の道を選び、そのたどる道の荒れかたに年を経て愕然とする。
せぬとて、その子々孫々が悲嘆を味わう。

 

 

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       http://www.chojugiga.com/tag/%E6%82%B2%E5%93%80/

かなり昔だが、後輩が相談があると言うので逢った。
「マルコ!退職金をはたいて投資信託買ったけど、
 三割も下がった。どないしょう!・・・」

 

バブルが弾けて長らく低迷したからよくある話だ。

初めて変動マーケットに飛び込んだ人には酷な状況だけど
損切りできないから、ずっと渋ちんの顔で毎日送らなければならない。

せめて若い頃に失敗したら、評価損を抱えた対処法が少しは身につくが
六十越してからはとうていムリ。

 

損した裏には得した人がいるから、喜びなはれ・・
                とはいえなかった。


ーーーーー

 

二十代前からマーケットに出入りしていたマルコは
百万やら億の評価損まではしゃーないわ・・・と
グチグチ、トボトボするぐらいでやり過ごした。

 

寄る年波には勝てず、今では
数万円の評価損でも引きずってしまう。
ツライのだ。
そのうえ、益が出てもどうも嬉しくなくなった。

 

長らく投機の荒海を泳ぎ疲れ、あほらしなったのだろうし
大事な平安をもとめての反応だろう。

 

一目山人は「そんな一般投資家に光明を!」と発願して、
一目均衡表を開発し世界中で使われている。首相のおじさんから
縁者だと聞き及んだ。左の道を歩んだ人だ。偉いお人

 

勝者はともすると敗者の悲哀を理解できない。
たとえ刻苦勉励し、挑戦しての高みであろうと、
その陰に何万人もの苦渋と悲哀があるのに

 

1930年、世界を揺るがせたNY大暴落後、有名ホテルの窓から
飛び降りるのに行列ができたとか。
さげすまれる中、歯を食いしばってのし上がったアイルランド移民の
ケネディーは空売りで大もうけした。
その後ケネディー家には悲劇が度々起きた。

 

人を踏み台にした富は心して活かさなくてはならない。

 

天はもらすことなく観ていて、
思わぬところで不思議な技を見せる。

 

 

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            灯火を