夜明けの気配がすると、マルコはすぐに温かなシャワーを浴びる。
えーっと、コーヒーにするかな?生姜湯にするかなと準備して
持ってゆくものをポケットに忍ばせる。バナナもだ。
5時過ぎには湯気や炭火でご飯を炊いたり鳥を焼いたりしている人々に会釈をして
メコン川沿いの寺に入る。既に坊さんは列を組んで街へと出発している。
老僧も子僧もはだしだ。
一着の橙衣を右斜めにまとっている托鉢行の後ろに、
橙シャツを着たマルコも歩く。
路みちに人々が布施のお櫃を準備してかしこまており、
僧を見るとおひつを恭しく掲げ、坊さまに大きな一握りの餅米と
おかずや菓子、飲み物を次々に入れる。
終わると坊さま達は功徳あれといっているように聞こえる合唱をし、
一人の僧は準備されている水を大地にそそぎ落とす。
今日一日の清めと、恵みを祈る儀式かも知れない。
その間、在家の人は合掌している。
30メートル間隔だろうか、つぎつぎ布施する人のところを巡り、
合唱以外黙々と布施を托鉢する。
結婚したて車も気にせず
言葉を交わす必要のない何千年もの生活儀式だからだろう。
小さな、そう3-4才だろうか母親のすぐ脇に正座して
手を合わせている姿は、かわいらしさというより、
初々しい輝きに満ちていた。
ときおり、マルコに気づいて笑みを浮かべる人もいた。
約30分ばかりだろうか、日の出の行脚は一日の始まりとして
何かしら吉祥を感じさせるものがあった。
論理とか言葉ではなく、行動(行)を通じての功徳なのである。
貧しさの中に清く生きようとする人々に佳きことあれと
合唱の間念じることとした。
ナァモオミトホー
托鉢マルコにもお布施
ひょっとしたらこれ!マンゴー餅米では???
うまいなぁ 功徳いっぱい