マルコがそのベンチャー魂と
和やかな人柄を尊敬する人がいる。
かって、パソナグループ南部靖之さんとか、
ソフトバンクの孫さんとかと同列に讃えられた
大きな人だ。
そのKさんからは独立心旺盛なベンチャー魂を吹き込まれた。
Kさんは正真正銘のベンチャー企業を興したが今はない。
新たに設立したのは企業育成会社だ。
ベンチャー育成の中の経営ノウハウをKさんが指導し、
エンジェルという資金提供者と結びつける。
会社勤めを早く辞めて、ベンチャー育成を東京で手伝った。
その過程で、
なんと人を頼る経営者の多いことか !
なんと、詐欺的な結末に陥ることが多いことか !
とマルコはつくづく目を丸くした。
現場にゆくマルコは
ある不動産会社は赤字経営なのに、お気に入りの
秘書を置くという経営者にあきれた。
いつしか経営者は雲隠れした。
ドイツの新聞に載ったと、切り抜きを自慢げにひけらかす
高齢者雇用の心の居酒屋というのもあった。
実際行ってみるとヨロヨロと年寄りが料理を運んでくれ
社長が夢を語ってくれる。
注文もしていないのに料理を次々運んでこさせ、
高い料金を請求されたので×と判断した。
のち、資金を集めて、女と逃げたという。
中には上場を果たして伸びているIT企業もあった。
そのKさんは近頃体調がすこぶる悪い。
今年、関東巡りしたとき伺ったら歓迎してくれ、
久しぶりの歓談をした。
体が不自由で、言葉も滑らかに出てこない苦しい体調なのに
にこにこされ、色々と気遣ってくれる様はまったく変わりがない。
心こもる手料理を造ってくれた奥様は
「体が不自由なのに主人は本当に穏やかで、
色々と配慮してくれるのですよ・・・・」
とおっしゃる。
マルコが答えた
「Kさんは小学校時代に独立心旺盛で、新聞配達された
でしょ。 そのとき、店主から休んだ同寮の分もと頼まれ
配達して回ったけど、ある家で遅い!とどなられた。
Kさん、言い訳一つせず頭を下げたと・・・
そのようにKさん、ずっと人のために辛苦を引き受ける
“徳”を お持ちなんですわ」
奥様は言葉なく、うっすらと涙ぐんでられた。
きっと語り尽くせない程の辛苦があったのだ。
真心からお人のためにと思っても人には通じぬ時がある。
迷惑がられたり、疑心で曲解したり、またたまには
それをいいことに利用だけして我が身の保身に利用し尽くす
やからもたくさんいる。
天に恥じない本心から“相手のために”は、巡り巡って
人の世では理解を超える不可思議な天徳として
いずれ吉祥がKさんに降りそそぐ。
降りそそぐという天界の花マンジューシャカ
マルコは快癒を願い
マルコ手作りの“マルベリー酒”と“杏酒”を届けた