千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

富の托かり方 36 <  山師の活用 >  

ある男の話である。

小さな時から、山師だった。
学校の裏山で土器や鏃(ヤジリ)をほじくり出して喜んでいた。

今と違って生ゴミは、桃や柿・イチジュクの脇に穴を掘って埋めていた。
その穴掘はその山師の役目だった。

カマキリとか、芋虫、蛙・蛇にどいてもらって土を掘る。
ミミズ君やらモグラどんを驚かせ、どんどん掘り進むと吾を忘れたという。

何しろ、透明に輝く水晶が出るかもしれん、黄銅鉱が光ってるかも、
石油が湧き出るかも、いやいやダイヤかサファイヤ、
はたまた千両箱が・・・と想像連鎖が果てしなく続いたらしい。
     

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           清らかな輝き
この連鎖が、彼の人生の一つの動機だった。
人々は「あんた、アホちゃう?」とあきれたという。
結局水しか出てこず、穴は背丈より深く墓穴を掘った気分だったという。

学生時代は旅行のおもしろさを教えられ、
彼は瑪瑙、ガーネット、翡翠など多くの石を持ち帰った。

会社時代は、カナダのビクトリア島で砂金探しをしようと思い立ち、
おろかにも鉱山省にゆき、どこで採れるか訊ねた。
「ここだが、グリズリ-大熊に喰われるぞ!」と確信に満ちた態度に、
恐れおののき中止した。

山師は「祖父の兄が若かりし頃、息子と朝鮮に渡って
砂金を持ち帰って、事業を拡げた」というから、
その血筋があったのである。

彼は病を得、体力ががた落ちになったので、方針を変えた。
世界の実体経済の何十倍もの規模であり、虚構でもある
金融経済地下鉱脈を掘ってやろうと息巻いた。
           

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色んなものを見つけたようだが、一番の発見は。
将来の構想だ、という。

よい鉱脈を掘り当て、志金というものに精錬して、それをもとに
千年構想の種まきする・・・などと大風呂敷を広げる。

       

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人々は「やっぱし・・・アホやなぁ」と相手にもしない。

その山師を相手にするのは満瑠壺だけである。

 

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