街の中心から5分ゆくと
マルコがしょっちゅう散歩した
白鳥路(ハクチョウロ)がある
金沢城の堀の先にあり
緑の路には小川が流れ
木陰に青銅彫刻が融け込んでいる
この静かなる路に
今月初めから蛍が飛ぶという。
すぐ横のホテル山楽にでかけ
蛍の催しに参加した。
障子格子の屏風を背にして
和服姿の品ある語り部が
蛍の文学作品を蘇らせるのだ。
声にいのちが宿り、まるでほたるとが
戯れ飛びかうような幽玄に包まれる
ほたるを聞く
かすかなBGMは日本の横笛。その響きは
笛先にほたるの黄舞があるかのようだ。
源氏も平家も共に変わりものだという。
日本にいる五十種類の蛍の内
水性でかつ成虫になっても光るのは
源・平蛍だとか。
催しを終え、一番活発に光る八時過ぎから
白鳥路の散策をした。
子らがあちらこちらで歓声をあげる
空を飛びかうはほたるの君
葉陰に宿るはほたるの姫
都会の真ん中での初夏の
夜の闇にほんのり流れる
うす黄色の軌跡に麗美を
私たち日本人は感じるのだろう。
そしてこの地の人々は、
飛びかう短命な小さな虫をいとおしむ
hotel 山楽 ロビー
そして、お隣席のご夫婦とほたる縁で知り合いになった。