千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

太ピーナツの謎づくり :金沢


ソレイユという友人の尊者がマルコの住まいに来てくれた。

農園で収穫したという里芋の伊予美人をつまみワインで乾杯した。
美人はあまりにもおいしくて、かぶら寿司まである!
もったいないと、仲間を呼んだ。

 

「美人がいるんだけど」・・・・

 

近所の博士ケイが宴会に加わって盛り上がった。
ソレイユは大手薬品会社にいたお人
Keiは理学部植物学で医療薬草を研究した方だ。

 

あれこれと話しが弾んで、ソレイユが年だ・・・とつけ加えつつ
マルコの好きな茹でたピーナッツは持ってくるのを忘れたという。

 

翌日ソレイユとマルコは金沢を発ち、ソレイユはわざわざ
京都で降りて自宅に戻って、なんと阪急大阪梅田まで
そのピーナッツを届けてくれた。 お忙しいのにね

 

売布の駅で降りるときに使ったATM・クレジット・pitapa一体のカードを手にしたまま、広い手洗いに入ったとき、たまたま台の上に置いた。

頭には「ソレイユピーナツ旨いだろうな」とだけ思いつつ、
弁当とビールを仕入れよう・・・いい案だと悦にいる。

 

ビル二階にテーブルがあるので、ビールを置いて、さあて
ピーナッツを開くとなんとマツコ程ではないが、名前は出てこないが
キーホルダ人形にもなった歌手ほどのポッチャリピーナツだ。
うまいうまいとピーナッツで一人、極楽気分になっていた。

 

ふと気がつくと後ろのテーブルで女子高校生が勉強している。
こんなに遅く、腹が空いているだろうと「あんたもこれ食べて頑張り」と
太ピーナッツをお裾分けした。ナプキンもリュックから探して
あげると「はいはい」と受け取る。


上々気分になって、リュックと重い荷物を引きずって
母上のいた家に登ってゆく途中ハッとした。

そうだ、カードは?!

 

あちこち、何度も何度も探したけれどもやはりない。
一度に酔いが醒めて、 これからの段取りを考える。

 

電気もガスも水道もない母亭で、クレジットカードの紛失届先の
電話番号を探し当てたがスマホでは繋がらない。

 

まあいいか・・・とも、ひょっとしたら広い手洗いに置いた所にあるかも
と気楽に考えて、駅前に降りてゆく。

 

手洗いにはない。コープの若い職員尋ねるとなんと
「学生さんが届けてくれましたよ、管理事務所に届けました」とのこと。
結局はマルコの手元に戻ってきた。

 

ありがたいことだなぁとつくづく感じいったのだ。

もちろんマルコにはどの学生さんが届けてくれたかは分からない
ソレイユの太ピーナッツが縁となって皆の好意が巡り巡っていた。

 

信頼とあったかさの循環、
この世の不思議さにこの年で驚くマルコだった。

 

 

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        日本では二個入り、海外は最大七個入り