五時前には目が覚めるようになった。
またもやありがたいことに目が覚めた。
外は闇で、ほんのりと東方がもやのように幕開けを暗示する。
顔を洗う水はすがすがしくうまい。
窓を開けると冷気が入って寒い。
高雄市内よりずっと高地にあるからだろう。
そこでマルコは、ベストを中に着込んでいざという時のために
長袖の上着も腰に巻いて変なかっこうになる。それでも
やせマルコには寒い。
普賢殿の仏さんに一礼して長い階段を降りて坂道を下る
半世紀前に竹林の荒れ果てた地にこんな楽な道を
切り拓き舗装してくれた先人を思いつつ、
一足一足踏みしめる。
きょうも脚が動いてくれるありがたさに語りかける
「あんたら、きのう無理させたのに
今日も歩くのにがんばってくれる、おおきになぁ」
だから急な坂をくだっても、膝に負担がないよう
つま先を開いてかかとを上げて小股で歩く。
「足指よ、ちゃんとクッションつけてくれてるんやなぁ・・・
ふくらはぎもアキレス腱も・・・・」
昼間はこんな道
途中、もう掃除をしている人がいる。一言も発せずに
ただ道を掃き清めている姿には頭が下がる。
不二門からは広々した階段をフーフー云いながら
踏みしめて登る。
昨晩の内にきれいにされた御影石はひかっている。
早課に赴く法師達がきびきびと登ってゆく。
マルコは途中で一休み
入口だ
のぼり着くと成佛大道という、左右が緑の芝生の広々した道を歩める。
そう、いかにも、いかにも
大道を歩む心地よさ
普段自動車社会の道は人の道ではないが
大道は正におおいなる成佛への人道だなと実感する
そうしてゆっくり歩んで、
大雄寶殿で光る三大佛が迎えてくれるのだ。
早朝のなんたるありがたい、過去と今ここの行脚
ナーモ、オーミートホぅ
左下から真ん中右上まで