千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

 南の島 便り < 竜宮 >

毎朝日の出前に起きる。

お気に入りの生姜湯をすすって、
宿舎の前に流れる川のどこかでもっと早起きの、
清々しい鳥さえずりに耳を傾ける。

 

それから浜にゆっくり散歩するのだが、
6時前後から始まるこじんまりしたセリ市に顔を出す。


なんとまぁ、競り市はラジオ体操で始まる。
マルコは気功体操しかしないので、久しぶりに弾みのついた

スウェーデン体操にやや戸惑って、ぐうたらおつきあいをする。


日が経つにつれ、地元のスーパーのご主人が話しかけてくれたり、

おっさんやおばさん、兄ちゃんがにっこりしてくれる。

物好きがいるとおもてる。

 

その後は港へ出て亀がきてくれないかと1時間以上過ごす。

 

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毎日毎日亀を待っている

 

結構風が強いため4月でも寒くて震える。
寒くてもウミガメを待っている。


広い海原だから、なかなか私の目の前には来てくれない。

ウミガメ君も朝ごはんを探すのにあちこち忙しい。
漁師が教えてくれたが、ベジタリアンだそうだよ。

 

いつも見に来て挨拶する、ある海上自衛隊の職員が
「あそこにいますよ!」と教えてくれた。

ちらっと鼻先が見えた

 

 

1㍍ほどはある立派なウミガメ、助けたことはないけれど
竜宮城へ連れて行ってくれないかな。
今生の思い出に、タイやヒラメの踊りもいいし
飲めや歌えのどんちゃん騒ぎも乙姫さんとしたいね。

 

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突堤の外海側に熱帯魚がたくさんいる
マルコはうつ伏せになって首だけ岸壁の海に出して下を眺める

 

岸壁はコンクリートなのにサンゴが猿の腰掛けのようにへばりつき、
その前をシマウマ模様の魚たちが群れをなし、
石鯛の子供のような魚たちも通り過ぎる。

 

さざなみの揺れにポコポコと浮かれた四角いものが近づいてくる。
ハコフグだ 。 なんとも滑稽な!あんたは偉い、
人を笑わせて気にもとめない、真面目な顔してね

 

潮の流れ加減だろうが珊瑚礁の中から、
鮮やかなコバルトブルーの2㎝の魚がちょいと顔を出す

 

底の方ではカマスの親玉のような50㎝ばかりの魚が横たわっている
きっと岸壁にぶつかって気絶しているのだろう。

 

 

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色々な魚を見ていると確かにこのような美しく澄んだ水の中には
竜宮城があるに違いない。

 

いつの日か乙姫さんに会えることもあろうと
心にほのぼのした温かみが打ち寄せてきた。