ここへ来たら、郷土資料をもとに
生活の知恵を探ろうと楽しみにしていた。
この漁師町に来たとたん
「コロナで公施設は休みます」と町内スピーカーが知らせてくれた
だから、南国の色彩豊かな図書館へ行っても閉館だった。
ホントはね、入り口なんかが黄色くていかにも南国
仕方なくぐるりを回っていると、桑の木が真っ黒な実をつけていた。
一粒食べて驚いた甘い!
ふたつぶ食べて驚いた小さい!
三粒食べてヤミツキになった。
地元の人にそれを告げたら
「ああ、あれね」と歯牙にもかけない。
吾が感動は伝わらない。
宿で水道水を飲んだ
ウオ!これはうまいなぁ
ボトル入りのミネラル水なんか足元に及ばない。
「あれね」が返ってくると思った。で
宿の人に「この水特別ですなぁ」と平静を装いつつ言うと
「おいしいでしょ!特別なんです」と共感がこもった大きな返答
舌ではなくて体が “うまいわぁ”と笑顔しているのだった