昔から不思議に思っていた。
何かというと、ギブアンドテイクの煩わしさと
陥りがちの卑しさである。
よろしゅう
会社にいた若い頃だった、ある上司が嬉しそうににたっと笑った。
「マルコよ、これ結婚祝いや、ええやろ
倍返しやでぇ!」
金一封をくれたのはいいが、条件付で
二倍にして返せよというのだった。
「へイ すんません」とくちごもった。
まごころがどこかへ消えていた。
商業消費促進のため、お返しが昔から当然のようにされている。
もろたらすぐさまどの位返すかが頭に浮かぶらしい。
そこには贈った相手の心遣いをじっくり味わうまもなく
お返しを気にする煩わしさがでしゃばってくる。
賢人はいう
“よきをなしたことを忘れ、よきを得たことを忘れなさい”
まさにそのとおり。
わにどり
金沢はその辺、素朴ないし質実剛健で気楽だ。
ギブアンドテイクはともすると、見返りへの欲が主になりがちだし、
それは二者間の緊張関係としてのキャッチボールでおわる。
それよりもなによりも、なによりも
なしたことを前面に出さず
恩回しする方が、ズーッと大きな実りが先に待っている。
気づかぬほどおおらかに充ちて
わに蝶
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蝶無心にして舞くる
・・・・・
天則に従う