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千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

 来る道、行く道 < 善人達の悪行 >

 


かって地震での避難生活の時、
近所に人格磨かれし老紳士がいた。

友人の多い彼は、親しい人が亡くなった折り、
葬儀長に選ばれた。

大活躍したが、冬の寒さのせいか、
風邪をこじらし帰らぬ人となった。

その奥様は不要なのに「買ったげな」と、
ある宝石商からアクセサリーを買い続けていた。
人々から善人だと太鼓判を押される宝石商は
ええねんと云っていた。


ある温厚な紳士が死の病にかかった。
奥様も知人もよかれと、様々な療法を調べ上げて、
心労過労に時間も金も注ぎ、治療を試し逝去した。

本人が私にいった
「本当にしんどぉ、でもなぁ一生懸命してくれるから
しゃーないしなぁ」と息絶え絶えだった。
満瑠壺ならば、閑かで心満たされる時間を選んで死へ向かう。

相手のよかれではなくて、自分がよいことをしていると
信じ切ってする善人は結果として悪をなすときがある。

 

 

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        いいこわるいこうらおもて

裁判員候補として呼ばれた「夙川放火殺人未遂事件」
にもそれを感じた。
被害者の意識しない悪意といじめが、
大手薬品会社のエリート社員を
犯罪に巻き込ませたのではという直観があった。

一人っ子のエリート社員は会社の期待を背負い、
スイスへ研究員として派遣されていた。
任期を終えて三階建ての自宅に帰ってみると、
子供と妻とその母親がいたという。

しばらくして、何か満たされぬエリート社員は階段に火をつけ、
それを消したという。後それが再び発火したらしい。

妻の母は尋問に対して「**君は、暗くて余り喋らず・・」と
述べたという。   義理の息子に**君か・・

養子狙いの結婚を何とか逃れた満瑠壺にとって、
母娘の無意識の結託内容は手に取るように分かる。

愛想よく巧みに善人を演じ、
意識下で人を悪人に仕立てる仕打ちをする。

渡り鳥は『お、はめられたかな!』と憶測した。
この社会では二度と立ち直れない、
破滅エリート社員に哀れを感じてしまった。

母娘は被害者として、善人ぶって生きているだろう。

それが人の世、善人なほもて往生するのである。