千 年 の み ち

“渡り鳥” が描く今と未来               たちばなマルコ

ドッグレース社会


ある人の話------------


姪宅を訪問すると年老いたグレイハウンド犬がいた。

レースを引退して引き取られた犬だ。


私は犬に尋ねた。「いまもレースに出ているのかね」
「いいえ」と犬は答えた
「どうしたというんだ、年を取り過ぎてレースに出られないのかい」
「いいえ、出られるレースはあった、バオ!」


「じゃぁ、勝てないからかい」
「飼い主のために百万ドル以上稼いだな、ワン!みりおん」


「なら、何がいけなかったのかい。待遇がひどかった?」
「そんなことはないわん、レースに出ている時とても大事にされた」


「じゃぁ脚でも悪くしたのかな」
私は問い詰めていった「一体なぜなんだ」


犬はこう答えた
「走るのをやめたんだ」
「やめたのかい」
「自分からやめた・・・」
「どうしてやめたんだい」
「レースで走って走って、あげくに追いかけてるウサギが本物じゃないと気づいた」