もくじ 1/2
イ.<命名> ROEバブル
ロ.直接金融の収縮に酔いしれて
2/2 次回
ハ.微細投資家の生き残り
ニ.生き金遣い
イ. <命名> ROEバブル
いつ頃からだろうか、米国ではやっている株主価値とか時価総額を
まことしやかに競争しあっている。
なんの意味があるのだろうか?
数字上の自己満足、絵に描いた餅で旨くもない。
いつかは弾ける今回の大バブルを観察してみた。
2008年からの危機は米国のサブプライムが大きな要因だった。
革命的技法か詐欺まがいか分からないが、
“借金の証券化”というドレッシングをした不良品を
世界中にばらまいて禍根を残した。
今回のバブルはいつピ-クをつけるか予想はできないけれど
米国の “ROE教” が原因だと感じる。
“ROEを高めることが株主に報いる”という教義だ。
株主に酬いる方法は大きく二つあるという。
まず自社株買いで株価をつり上げることが株主還元。
だから、市場の買い手は企業なのだ。
最近の日本でも外人と個人が売って、事業会社がせっせと買っている。
市場から自社株買いで吸い上げ、それはM&Aに使われたり消却したりする。
二つ目は配当による株主還元だけれど、
税引きされている純利益からの配当だから魅力はうすくなる。
米国では加速的に自社株買いがふえて、株価が上伸する。
すると直接金融社会だから消費者のフトコロが太っ腹になり気前よくなる。
消費面からの景気がいいのは当たり前。
そのほかの手だてとして、自己資本比率を低くし
財務レバレッジを高めるとROEが見せかけ高くなる。
頭のいい財務人は資本調達コスト計算などしてあれこれ考案する。
米国では社債を発行して得た資金を自社株買いに充てるという珍事も常識である。
ふむふむ・・・そうか・・・ナルホド
この関係をじっと眺めて思いついた財務者
目先はいいけど、暴落の元をつくり上げているのでは?
価値を生む投資ではなく、財務による幻作りの活動でしかない。
ときとして、循環取引とおんなしやなぁって感じてしまう。
直接金融市場で資金を調達して企業活動で収益を上げることは
廃れつつあるのだろうか。
直感だけれど、バブル生成の為の新機軸だと見てしまう。
ロ.直接金融の収縮に酔いしれて
資本市場は「資金を直接金融でまかなって産業を育てるもの」
だと習ったのは昔のこと。
収益を自社株買いに回すことは、資本金や自己資本を減少させることで、
形の上では昔の減資とにている。
おとどしだったか、米国の全企業利益の125%も株主還元されたという。
25%は借金して株主に渡したのだ。
利益が多すぎる時にはいいけれど、
ない袖を借金してまで何故自社株買いするか?
きっと
株価上昇局面で財務者は思いついた。
「買えば買うほど株価が上がる!」
当然のことだ
買いは上昇力だし、市場に出回る株式数も少なくなるからね。
そして、
「社保有株式はM&Aの資金源となり、株価急騰でうるさい株主はにんまり」
とせっせと株式の濃密化に資金を投入する。
「しめしめROEが上がるし、時価総額競争に有利だ!!」
「いいことづくめだ、もっとやろう」
「トランプが海外の収益還流の減税してくれよる。
自社株買いに回そう。株価はもっと騰るぞ」
大統領令による米企業の本国還流資金は設備投資より
自社株買いに充当(FRBの調査)され、記録的自社株買いとなっている。
株主は喜び消費は堅調、景気がよくなる。株価はますます上がる。
そして
トランプファミリーファースト アメリカファースト 株主ファーストで大衆も政府もみんなハッピー。
米国一人がちさ!
資本市場は「直接金融(=有限責任)を縮小させ金融バブルを育てるもの」
となっている。
そして、Mr.草野氏の遺言が待ち受けている
∞
昔ヒットした『ホテル・カリフォルニア(イーグルス)』の詩を
思い出しなさい。
泊まって宴会に酔いしれるのはいいけれど、
決して抜け出すことができないよ。
https://www.youtube.com/watch?v=8UAlD8SI-6U
she said:“We are all just prisoners here,
Of our own device”
(しょせんみんなここの囚人なの、自分の意思で囚われた…)
立ち去る時は破滅が待っている
∞