学生時代の友人がしんみりいうのに
マルコはずきんときた。
「マルコなぁ、おまえいくらでも結婚する機会があったやろに、
あぁァ~~独りはさびしいでぇ」
人の心まで見通す慧眼の持ち主にしんみりひとりごとされると、
どう応えてよいかまごまごして、返すことばも表情もなかった。
その奥に「アホぉ!」と損得なしで
友人としてのおしかりもあった。
過去の痛手を忘れたし、説明してもいい訳にしか過ぎない。
結局自分にも分からないことってあるのだ。
結婚まがい儀礼、それを婚儀として祝福されたが
マルコ流結婚はしたことがない。
本当に気のあう女の原型は
なんと、小学校3、4年生の友・里美だった。
男の友達はようけおっても、
女では里美が何かにつけて気があった。
なにをしても一緒にいるのがここちのよい、
つまり、向き合う仲だけではなくて、目指しあうのが
まこと楽しかった。
条件ばかりが『あうあう!』『お似合いの極地』
『羨ましい嫁さんだ』『家柄もよくて』『金持ちやしぃ』
『男なら、養子になって会社を大きくするのがほんもんやで』
など等々とずらずら続いたなぁ 結婚まがい儀礼
ただ一人、マルコの上司は「ハハハ、マルコには向かんで」と
見透かされていた。
ある人は「身の丈170以上、次男、Yu大出ってなぁ
養子の口、いくらでもあるで」と次期社長になる縁を
次々持ってきてくれた。
猫に小判のマルコには、迷惑でしかなかった。
ネコバン経験をたくさん積むとね---
女は自分たちの思い通りを満たすために
マルコに近づいてくるんだと、悲しくなって避けてしまった。
ま、これも縁でしかない。
これから毎日誕生日でかわりゆくからね。
ときおり、聡明な“里美”と縁があようにと願う、
あり得ぬ不思議を求める子供顔を覗かせる
その友人に伝えたかったな
彼が断固としていう
「アホっ、じいさんに近づいてくるんは財産目当てや!」
マルコ答える
「財産あれへんから、無理やってことか--
夢もナスビもあらへんわぃ、ふん」