“金沢おでんが、欲しいなぁ”
と念じていたら
夕方、アパートの上階のお兄ちゃんが
声をかけてくれた。
「マルコはん、能登の実家でもろた大根ドーゾ」
大きな野武士様の体格のお人で、
ゴミ出し方法など親切に声かけしてくれる。
受け取った二本の巨大根は
マルコの手にズシンコと、
力まねば落としてしまうほどだった。
それからというものの、
おでん・味噌汁・ふろふき大根・大根カレーなどに
嫁入りしてなんともいえぬ旨さをひきだした。
親御さんの慈しみがこもっていた。
おおきなまな板なのにねぇ
友が収穫したきれいに洗った赤芽里芋と
真っ白な伊予芋を送ってくれた。
若い頃にはさといも?ってヌルヌルするだけだ
と思っていたが、なんとも美味しい。
赤のセレベス芋はほっくりして、
白の伊予美人はあっさりヌルヌル。
思わずよだれが湧く。
別の友が丹精込めた新米をくれた。
いつも茶色米を食ってるマルコは、
真っ白ご飯を炊いて食べた。
部屋中に懐かしき豊穣の匂いが立ちこめた。
ほかほかの
おでんと芋とご飯。
心あったまる旨さのご馳走だった。
ばい貝、香箱、車麩入り金沢本式です<もちろん料理屋さんの>