今なお心がチクチク痛む昔のことがある
生徒の時だった。歴史の授業が始まる前に、教室では大騒ぎ。
チョーク投げ合いとなって喜んでいた。
調子に乗った私が投げたチョークが教室の入り口の方に飛び
まさにその時入ってきたカッパ先生にコツンと当たった。
マルコは息をのんだ・・・えらいこっちゃ!
先生は別に激昂する風もなく壇上に立つとみんなに問うた。
「お前たち、誰がチョークを投げた?」
穏やかながらも厳しい語調に、ハイマルコですと
すぐには言い出せなかった。
恐れと戸惑いがあったのである。
先生はおもむろにみんなに目を瞑 (ツム) らせて言う
「さ、誰が投げたか手を挙げなさい」
マルコは、冷や汗と恥ずかしさの渦中、
手を恐る恐る挙げたのである。
まあなんと墓穴を掘るようなアホなことを・・・・
チョークは先生からよく飛んできたな
(もちろん男先生)
先生は何事もなく授業を始めた。
今なお出来た先生だったなぁ・・とその顔をよく思い出す。
私の苦手な歴史の時間であるが、この思い出があるせいか
近頃歴史が大好きになっている。
夏からの数ヶ月の山ごもりで、ある法師の話。
マルコは長期旅行には抹茶を振る舞うために茶道具を持っている。
冷蔵庫に入れた堆朱のナツメに抹茶を移して
いつでもお茶を立てられるようにしていた。
ある聡明な法師が大きな声でさけんでる。
「ごめんなさい、マルコ、抹茶をこぼしてしまった、
本当に申し訳ない、ごめんなさい!」
そして法・師でない私に向かって綺麗に剃り上げた頭を
ペコンとふかぶかと下げるのであった。
「なんと!一点の濁りもない清々しい謝り方、
大したものだ」 と驚いたのだ。
長い間生きていて、人を感服させる爽快な謝りに出会えるとは・・・
長生きにもいいことがあるなぁ。
まっ赤な堆朱