新・日本昔話 「コガネムシの涙」
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むかしむかしある処にある金持ちがいました。大きな白壁の金蔵建てて人々から羨ましがられ、「コガネムシ」とあだ名されていました。コガネムシには四人の妻がいました。
そのコガネムシは、四人の妻のうち一人は別として他の3人の妻をこよなく愛していました。 コガネムシは自分が死ぬとき、彼女達は間違いなく自分と同行してくれるものと信じていたのです、はぃ。
やがて彼にも臨終の時が来たので、彼は第一の妻に「お前はワシと一緒に死んでくれるね」と念を押すつもりで聞くと、第一の妻は意外にも首を振って「いえいえ、お亡くなりになるまでお世話を申し上げますが、後はお一人で」と断ります
コガネムシはがっかりして第二の妻に聞きます。すると彼女は「焼き場までのお供でお許しを」ときっぱり断ります。 コガネムシはいよいよ落胆して第三の妻に「是非同行しておくれ」と哀願するのですが、「あなたのご遺骨を埋める墓所でお別れです」と取りつきようもありません。
四番目の女が残っていますが、コガネムシは彼女にあまり関心を持っていなかったので声をかけません。
すると意外にも彼女の方から「ご主人様、私はどこまでもお供します」と申し出たのです。それにはコガネムシはなんと、渋い顔をしそっぽを向いたのです。
そこへ下女がいそいそと、温かなおかゆを持ってきました。コガネムシはかすむ目で下女を見て「誰もわしと一緒してくれんのじゃ」とため息をついていったのです。「だんな様、同行したくもできぬは世の習い、わらわは心を込めて料理を作って差し上げました、これからも真心こめてお供えします。次の世で思い起こしてくださいまし」と匙を差し出すのです
コガネムシは喜び、粥と涙をすすってあの世へ旅だったのです。 おしまい
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二千年も三千年も前からの賢者や尊者の話、癌で死に行く米巨大企業創業者の懺悔を元にマルコが脚色したものです。
人々よ、四人の妻となんであろうか?と尊者は私どもに問いかけます。
そしていうのです。
「第一の妻とて夫に殉じはしないであろう。 夫の最後を看取れば妻の務めは終わる。
第二の妻とは人でなく男の財産だ。 財産は火葬で焼かれるか、後に残すか、いずれにしても墓の中まで持ってはゆけない。
第三の妻とは生前の地位や名誉や肩書である。 それらは墓所までであの世では何の用にもたたぬ。
第四の妻とは、男の生前の善悪の行為、業で 行為の結果は死後もどこまでもついて回る
下女とは、生きていた時、多くのものに愛され恵みを受け、また、心通わせて愛した思い出である」
気づいた無私の慈しみや愛は、時空を超えるのです